大病院だから出来る医療と大病院だから出来ない医療③

宇都宮 和紫(♂) • 2020年 12月 1日
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 余命宣告までの経緯はひと段落しました。
 次は自宅療養から母が亡くなるまでの経緯を綴っていきたいと思うのですが、その前にセカンドオピニオンやらネット、書籍などで知った情報などを私なりにまとめてみました。
 ただ、これはその情報を元にした、あくまでも私の私見です。
 もしかしたら、間違えている部分もあるかもしれませんし、多少の偏りもあると思います。
 なので、間違えている部分などありましたら、ご指摘頂けると幸いです。

 

 

 大病院だから出来る医療と大病院だから出来ない医療③

 

 そして、国の医療制度の問題もあります。

 日本の医療制度、そして福祉は、アメリカなどとは比べられないくらい素晴らしいモノです。

 まあ、日本より福祉が充実している国も確かにありますが、そういった国は、おのずと税率も高くなってます。

 

 例えば、福祉が充実していると有名なフィンランドなどは、消費税が最大で24%。そして、医療福祉が世界一と名高いハンガリーの消費税は、なんと27%……
 消費税が8%から10%に上がる時に、あれだけ大騒ぎした日本の倍以上です。

 税率を上げ、更に福祉の充実度を上げるか、税率を下げ、福祉の充実度を下げるか……
 この辺は、意見の分かれる所だと思いますが、個人的に日本はその辺のバランスが良いと思っています。

 

 特に医療費は、一割~三割負担と負担額も少なく、高齢者は医療費の上限もあります。
 ちなみに、71歳である母の入院費の上限は一ヶ月57600円|(食費は別)。つまり、丸々一ヶ月入院して、様々な検査、毎日の点滴、そして外科手術をしても、一ヶ月で57600円以上はかかりません。

 

 逆にアメリカはといえば――こんな実話があります。

 とあるアメリカ人女性が、友人と共に日本へ観光旅行に来た時の事。
 観光の途中で具合が悪くなり、歩く事もままならなくなった女性。

 心配した友人が、慌て救急車を呼ぼうとしたところ、
「病院はやめてほしい。もし高額な医療費を請求され、破産でもする事になったら、家族に迷惑がかかるから」
 と、泣きながら懇願したそうです。

 

 それでも、息も絶え絶えに苦しむ女性を見て、友人は中ば強引に彼女を救急車へと乗せ、病院へと連れて行きました。

 幸い、命の危険のある状況でもなく、一通りの検査の後、点滴を射ちながら一日だけ入院した女性。
 そして翌日。病院から請求された料金に驚愕し、目を疑ったそうです。

 

「間違えて、ゼロが一つ少なくなっていないか?」と……

 

 ちなみに、その請求された金額とは約三万円。
 一泊入院で三万とは、日本人の感覚だとぼったくりに近い金額だと思われる方々も多いのではないでしょうか?

 しかし、外国籍で国民健康保険に加入している訳でもないので、この金額は妥当であると思います。

 しかし、アメリカ人の感覚から言えば、この請求金額だとゼロが一つ少ないのです。

 

 実際、アメリカの医療は全額自己負担の上、医療費自体も高額。
 しかも、その金額は病院の裁量で自由に決めてよいらしいのです。

 しかも、おおよその金額すら州によって|疎《まば》らで、一番高いと言われるマンハッタンでは、一般の初診料がだいたい15000円から30000円。入院は室料だけで20万円から50万円は掛かるそうです。

 

 例えば、急性盲腸炎で入院し、手術をして翌日退院(一泊入院)した場合の請求額は、100万円を軽く超えるとか……

 ちなみに、アメリカでは、年間53万世帯が破産をしているそうなのですが、その内の六割以上は医療費が払えなくて破産しており、残りの内の四割は、病気によって収入が減った事が原因だそうです。

 

 そう考えれば、確かに日本は本当に恵まれています。

 ただ、逆に福祉が充実している事で、それがマイナスに働く事もあるのです。

 

 例えば、医療費に上限を設けているという事。

 医療費上限制度は確かに素晴らしい制度です。しかし、どんなにたくさんの治療や投薬を受けたとしても医療費が同じであれば、患者側は一つ一つの治療や投薬の費用に無頓着となってしまいます。

 

 アメリカの様に全額自己負担であるなら、少しでも安く済む様にと様々な治療法や、それにかかる費用を比較したりするでしょう。
 そして、治療法は、自分の経済状況に合わせたモノ選ぶ事になります。

 

 前ページで触れた高濃度ビタミンCを例に上げてみると、癌治療用に特殊な製法で作られていると思いますが、所詮はビタミン剤。
 他の癌治療薬と比べれば、薬自体は安価部類の薬です。
 それでいて、効果も高く副作用もほとんどないのですから、当然それを選ぶ患者も多くなります。

 その結果、高濃度ビタミンCには、たくさんの臨床データが集って来ますし、研究も進みます。

 対して日本では、高価な薬でも安価な薬でも、月の限度額を超えれば払う金額は同じ。

 となれば、患者側はなんとなく高価な薬を使いたくなるモノですし、製薬会社も高価な薬を使って欲しい。
 そして、特に大きな病院は、製薬会社との付き合いもあるので、当然にして製薬会社が薦める薬を最優先に取り入れます。

 

 そして製薬会社は、そこで得た資本力を元に研究を進め、新薬や新しい医療機器を次々と開発していくのです。

 その結果、大きな病院と繋がりのある製薬会社や医療機器メーカーの製品ばかりが厚労省の承認を受けている状態となり、逆に代替え治療は承認が通りにくい――いや、臨床数が少なくて承認の申請すら出来ないという状態なのです。

 更にもう一つのマイナス点として、システムがキッチリとマニュアル化されている分、融通が利きません。

例えば、一部の例外を除き、入院中の医療では保険診療と自由診療の併用は、医療制度的に出来ません。

 つまり、入院中に保険診療の癌治療を受けながら、自由診療の代替え治療は受けられないのです。

 その辺が、大きな病院で代替え治療が取り入れられない理由なのでしょう。

 保険診療中に代替え治療が受けられない――
 それは、保険診療で入院中には、患者や家族がいくら望んでも、自由診療である代替え治療は行なえないという事です。

 

 そして、どうしても代替え治療を受けたいのであれば、その病院を退院しなくてはなりませんし、すぐに退院が出来る状況でないなら、退院まで待たなければ代替え治療を受ける事はできません。

 

 分かりやすく言うと、Aという大きな病院に癌治療で入院中。何かしらの病気や感染症が併発したとします。
 そして、病院側がその処置に手一杯となり、
「癌に対してはもう打つ手はない」「もう、癌に対して出来る治療はない」
 などと言われました。

 しかし、Bという病院では、その状況であっても、
「代替え治療ならば、まだいくつかの治療法がありますよ」
 と言われました。

 当然、すぐにでもBの病院で治療を受けたくなるでしょう。

 

 しかし、入院しているAの病院が行っている治療は保険診療で、Bの病院が行う治療は自由診療。
 この場合は、Aの病院で行われている治療が終わり、退院しない事には、Bの病院での治療は受けられないのです。

 

 その間にも、癌がどんどん進行しているとしても――いえ、Aで行われてている治療が、癌の進行を早めていたとしてもです。

 

 これはまさに、日本のお役所仕事の弊害と言って良いかもしれません。

 

 この様に、大病院だから出来る医療と大病院だから出来ない医療があるというのは分かってもらえたと思います。

 

 しかし、勘違いしないで頂きたいのは、何も大病院の医療が悪いと言っている訳ではないという事。

 最先端設備や多くのスタッフ、そして各方面の専門家が存在している大病院の医療は、確かに素晴らしいです。

 そして、その専門家達が集まりチームを作り、医療方針を決め、治療にのぞむ訳ですから、ほとんどのケースがその方針通りに進んで行きます。
 また、多くの医療実績から多少のイレギュラーも、その方針の中に折り込み済みのはずです。

 

 ただ、そのイレギュラーが方針から外れてしまった場合――医師の想定を超えてしまっていた場合は、大きな組織がアダとってしまう事もあるという事を知って欲しい。

 大きな病院は、とにかくフットワークが重いです。
 数十の病棟に数百を超える医師。
 どうしても横の繋がりが希薄になり、連携が上手く取れていない場合が多々あります。

 

 内科に入院中、夜に外科の先生が話しをしに来ると言っていたのに来なかったり。
 主治医へ、メンタルケアルームの人に母の話しを聞いて貰って欲しいとお願いしたのに、その話がメンタルケアの方に伝わっていなかったり。
 おこなった治療の効果が芳しくなく、次の治療の方針を決める為に話し合いをする際、各医師達の予定が合わず何週間もそのまま放置されたりなど……(全て実話)

 

 特に、癌の様に進行の速い病気は、その連携の遅れが取り返しの付かない事態に――一つの処置の遅れで、以降の処置全てが裏目裏目に出てしまう事もあるのです。

 

 そう、マークシートで一つ答えがズレると、以降全てが間違いになってしまうように……

 

 そして、大きな病院からは、
「ウチでは手の施しようがないけど、あそこの病院なら――」
 などと、他の病院を紹介すると言う事はありませんし、代替え治療を薦める事などもありえません。

 

 だからこそ、もしイレギュラーが起こってしまったのなら、それがその病院でリカバリー出来るイレギュラーなのかをセカンドピニオンなどで違う病院の医師に相談すること。
 そして、その結果によっては転院なども考えて、患者の病状に最適な病院を探し、選ぶ事は、患者サイドの責任であると思います。

 

 そう、その責任を果たせず、失敗したわたしの様にならない為にも……
 

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